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バイオマスボイラ・木質バイオマスの補助金!適用条件・補助率は?

バイオマスボイラや木質バイオマスボイラは、再生可能エネルギーを活用した脱炭素化の推進において注目されています。特に、木材廃材や間伐材を活用する木質バイオマスボイラは、資源の有効利用だけでなく、CO2の吸収と育林活動を組み合わせた環境負荷の低減が期待されています。

また、日本ではこれらの設備を導入するための補助金制度が整備されており、導入コストの軽減が図られています。当記事では、補助金の具体的な内容や条件を分かりやすく解説し、効率的な活用方法を紹介します。

 

1.バイオマスボイラとは?補助金は適用される?

バイオマスボイラとは、植物や動物の排せつ物など、生物に由来する資源を燃料とし、水蒸気や温水などを生成する機器です。ボイラには、バイオマスボイラのほかに、重油やLPガスなどを利用する化石燃料ボイラがあります。

バイオマスボイラの中でも、木材に由来する資源を使うものが木質バイオマスボイラです。木質バイオマスボイラの燃料はおがくずや間伐材、廃材などで、本来廃棄される木材を活用することで資源の有効利用につながります。また、燃料となる木材は成長過程でCO2を吸収するため、育林活動などと組み合わせることで脱炭素化に寄与します。

このように、バイオマスボイラ・木質バイオマスボイラには多くのメリットがあり、それゆえに補助金制度が整備されています。

 

2.最大50%補助!木質バイオマスボイラの補助金

木質バイオマスボイラに対する補助金はさまざまです。中には、最大で費用の50%の補助が適用される制度もあります。ここでは、木質バイオマスボイラに関する補助金について分かりやすく解説します。

 

2-1.林業・木材産業循環成長対策

名称林業・木材産業循環成長対策交付金
事業内容林業や木材産業の持続化・生産基盤の強化を目的とし、間伐材の生産や再造林の低コスト化、森林資源の保全、林業の担い手の育成などを支援する
補助費用木質バイオマス利用促進施設の整備費用
補助率2分の1、3分の1以内など

出典:林野庁「林業・木材産業循環成長対策交付金」

出典:林野庁「森林・林業・木材産業グリーン成長総合対策のうち林業・木材産業循環成長対策」

「林業・木材産業循環成長対策」は、林野庁による林業の支援を目的とする事業です。2025年度は、木材需要拡大・木材産業基盤強化対策の強化を目指し、木質バイオマス利用促進施設の整備に対して補助金が適用される予定です。

 

2-2.民間企業等による再エネの導入及び地域共生加速化事業

名称民間企業等による再エネの導入及び地域共生加速化事業
事業内容太陽光発電設備・蓄電池や設置場所の特性を生かした再生可能エネルギー導入をサポートし、民間企業などによる再生可能エネルギーの自家消費・地産地消を促進する
補助費用地域の特性に応じた再エネ熱利用・自家消費型再エネ発電設備の導入費用
補助率2分の1、3分の1

出典:環境省「民間企業等による再エネの導入及び地域共生加速化事業のうち、(2) 設置場所の特性に応じた再エネ導入・価格低減促進事業

「民間企業等による再エネの導入及び地域共生加速化事業」は、環境省による再生可能エネルギーの設備導入促進事業です。民間企業などに対し、太陽光発電設備の導入や地域ごとの特性を生かした再生可能エネルギーの設備の導入費用を支援する取り組みを行っています。
木質バイオマスボイラに関わる支援としては、2025年度には再生可能エネルギーの熱や工場排熱を利用する設備の導入費用に対する補助金を実施します。

 

2-3.省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費

名称省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費
事業内容脱炭素につながる電化・燃料転換を伴う設備更新を支援する
補助費用
  • 工場や事業場において、機械設計を伴う先進型設備の導入費用
  • 化石燃料から電化・脱炭素目的の燃料転換を伴う設備の導入費用
  • EMS制御や高効率設備の導入、運用改善などの省エネへの取り組みにかかる費用
補助率3分の1~3分の2以内

出典:経済産業省「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費」

「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費」は、省エネ設備や電化・脱炭素目的の設備導入に対する補助金制度です。補助率や上限額は企業の規模や対象事業によって異なり、基本的な補助率は大企業に対しては費用の3分の1以内、中小企業では2分の1以内と設定されています。補助金額の上限は、バイオマスボイラのような非化石転換設備が対象であれば、20億円となる予定です。

 

2-4.再生可能エネルギー導入拡大に向けた分散型エネルギーリソース導入支援等事業

名称再生可能エネルギー導入拡大に向けた分散型エネルギーリソース導入支援等事業
事業内容分散型エネルギーシステムの構築を支援し、地域の分散型電源の活用を促進する
補助費用
  • 長期停電時に全国から独立した電力系統を構築する費用
  • DRに対応したリソース導入にかかる費用
補助率2分の1以内、3分の1以内

出典:経済産業省「再生可能エネルギー導入拡大に向けた分散型エネルギーリソース導入支援等事業

「再生可能エネルギー導入拡大に向けた分散型エネルギーリソース導入支援等事業」では、主に地域資源や再生可能エネルギーを活用した電力供給システム構築を支援します。災害時の電力供給など、さまざまな問題解消の手段として、木質バイオマスも取り入れています。

 

2-5.木質バイオマス燃料等の安定的・効率的な供給・利用システム構築支援事業

名称木質バイオマス燃料等の安定的・効率的な供給・利用システム構築支援事業
事業内容木質バイオマス燃料を安定的かつ効率的に供給できるシステム構築を、製造・輸送などの観点から支援する
補助費用
  • 早生樹や広葉樹など、新たな燃料ポテンシャルの開拓・利用の実証に関する費用
  • 木質バイオマス燃料の製造・輸送の品質向上に向けた実証事業にかかる費用
補助率3分の2

出典:経済産業省「木質バイオマス燃料等の安定的・効率的な供給・利用システム構築支援事業」

「木質バイオマス燃料等の安定的・効率的な供給・利用システム構築支援事業」は、主に木質バイオマス燃料の供給・利用に向けた実証や調査を支援する事業です。各種補助金の中でも、木質バイオマス燃料に特化した補助金制度として実施されます。

 

2-6.需要家主導型太陽光発電及び再生可能エネルギー電源併設型蓄電池導入支援事業

名称需要家主導型太陽光発電及び再生可能エネルギー電源併設型蓄電池導入支援事業
事業内容太陽光発電装置などの導入を通じて再生可能エネルギーの拡大・自立化を推進し、2030年の長期エネルギー需給見通しの実現を図る
補助費用民間事業者などが太陽光発電設備・再生可能エネルギー併設型の蓄電池を導入する際にかかる費用
補助率2分の1、3分の1

出典:経済産業省「需要家主導型太陽光発電及び再生可能エネルギー電源併設型蓄電池導入支援事業」

「需要家主導型太陽光発電及び再生可能エネルギー電源併設型蓄電池導入支援事業」は、発電事業者などの供給者ではなく、エネルギーの需要家に対する補助事業です。本事業は2022年から4年間を目途としており、2025年で3年目を迎えます。木質バイオマスボイラに蓄電池を併設した場合に補助対象となる可能性があります。

 

3.【自治体】2024年度に実行されたバイオマスボイラ補助金

国だけでなく、都道府県や市区町村などの自治体でも、バイオマスボイラに対する補助金が出る場合があります。バイオマスボイラが対象となる自治体の補助制度には、次のようなものがあります。なお、いずれも2024年度の情報なので、2025年度に関しては自治体のホームページなどで最新情報をご確認ください。

・木質バイオマス循環利用普及促進事業(ペレットストーブ設置事業)補助金

長野県北佐久郡にある軽井沢町による補助金です。木質バイオマスを使うペレットストーブの設置に対して補助を行います。県内の施設で製造されたペレットを使用するのが、補助金交付の条件の1つです。

出典:軽井沢町「令和6年度 木質バイオマス循環利用普及促進事業(ペレットストーブ設置事業)補助金について」

・地産地消型再エネ・蓄エネ設備導入促進事業(都内設置・蓄電池単独設置)

東京都で制定している補助金制度です。再生可能エネルギーの発電設備や熱利用設備、蓄電池の設置費用に対して補助金が交付されます。東京電力エリア内であれば、都外の設備も補助金の対象です。

出典:クール・ネット東京「地産地消型再エネ・蓄エネ設備導入促進事業(都内設置・蓄電池単独設置)」

・施設園芸エネルギー転換支援事業

福島市による支援事業です。市内に住民登録がある販売農業者を補助対象者としており、燃油不使用のボイラを設置すると、導入などにかかる補助が受けられます。

出典:福島市「施設園芸エネルギー転換支援事業実施要領」

自治体の補助金は、対象エリアなどが限定的であるものの、国の補助金制度と併せて申請できる可能性があります。バイオマスボイラの導入を検討する際には、企業や対象設備がある自治体の補助金制度も調べ、最大限の補助を受けられるように準備しましょう。

 

まとめ

木質バイオマスボイラの導入は、脱炭素社会の実現やエネルギー資源の有効活用の貢献につながります。さらに、国や自治体が提供する多様な補助金制度を活用すれば、初期投資の負担を軽減することが可能です。

補助金制度の適用条件を事前に確認し、対象となる事業を選定した上で、補助金を最大限に活用しましょう。当記事を参考に導入計画を進め、持続可能なエネルギー活用に役立ててください。

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