木質バイオマス発電とは?メリット・デメリットや事例を簡単に解説

木質バイオマス発電は、森林や製材工場などから発生する木材資源を燃料にして電力を生み出す再生可能エネルギーです。資源の循環利用を促進しつつ、CO2排出を相殺できることから、カーボンニュートラル実現に向けた重要な選択肢とされています。

また、木質バイオマス発電は電力供給に役立つだけでなく、間伐材や林地残材の活用による林業の活性化にも寄与する発電方法です。さらに、天候に左右されにくい安定性を持つ、太陽光や風力と並ぶ持続可能なエネルギー源でもあります。

この記事では、木質バイオマス発電の仕組みやメリット・デメリット、課題、自治体での活用事例について解説します。

 

1. 木質バイオマス発電とは

木質バイオマス発電とは、木質バイオマスを燃料として利用し、蒸気やガスを発生させてタービンを回し、電気を生み出す仕組みです。森林資源を循環的に利用する点で、持続可能な社会の構築に貢献することから、再生可能エネルギーの1つに位置づけられる発電方法です。

日本では特に、未利用間伐材や林地残材の大量発生が課題とされており、木質バイオマス発電によるエネルギー利用が推進されています。木質バイオマス発電は、電力の安定供給だけでなく、林業の振興や地域経済の活性化にもつながるため、企業や自治体から注目を集めています。

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1-1. 木質バイオマスとは

木質バイオマスとは、木材由来の再生可能なバイオマス資源を指す言葉です。代表的なものは、森林の間伐や伐採の際に残る枝葉、林地残材、製材工場から出る樹皮やのこ屑、建設や解体時に発生する廃木材です。

林野庁のデータによると、中でも未利用間伐材は年間約2,000万立方メートル発生しており、安定的な利用が重要課題となっています。

出典:日本木質バイオマスエネルギー協会「木質バイオマスとは」

木質バイオマスは森林から都市部まで幅広い場所で発生し、状態や性質も多様です。そのため、効率的な利用には、発生源に応じた収集体制や加工技術の整備が欠かせません。木質バイオマスを発電に活用することは、廃棄物削減と再生可能エネルギー利用の双方を実現できる点で大きな意義があります。

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1-2. 木質バイオマス発電の仕組み

木質バイオマス発電は、燃料の利用方法によって主に2つの方式に分けられます。

蒸気タービン方式木質燃料を燃焼してボイラーで高温高圧の蒸気を発生させ、タービンを回し発電機を稼働させる
ガス化-エンジン方式(ガスタービン方式)木材を熱分解や酸化反応によりバイオガスへ変換し、エンジンやガスタービンを駆動して発電する

発電効率はおおむね30%程度ですが、蒸気を発電に加えて工場の加熱工程や地域の暖房用エネルギーにも活用する「熱電併給(コージェネレーション)」を導入すれば、全体効率を60%前後まで高めることが可能です。

また、蒸気の冷却に使われた排温水などを、農業用ハウスの加温や養殖用の水の加温に使用するといった活用方法もあります。

 

2. 木質バイオマス発電のメリット・デメリット

木質バイオマス発電は、環境面や地域経済にプラスの効果をもたらす一方、燃料の調達や品質管理の面では課題を抱える発電方式です。

以下では、導入を検討する際に知っておくべきメリットとデメリットを解説します。

 

2-1. 木質バイオマス発電のメリット

木質バイオマス発電には、大きく分けて3つのメリットがあります。

  • 二酸化炭素や廃棄物の抑制
    木材は成長過程で大気中のCO2を吸収するため、燃焼による排出は森林再生で相殺されます。そのため、化石燃料と比較して排出抑制効果が期待されるカーボンニュートラルな発電方法です。また、製材端材や解体木材を燃料に使うことで、廃棄物の削減にもつながります。
  • 天候に左右されにくい安定性
    太陽光発電や風力発電と比べて、天候の影響を直接受けにくく、燃料さえ確保できれば計画的に発電を続けられる点が強みです。再生可能エネルギーの中では出力の安定度が比較的高いとされています。
  • 林業の活性化と地域経済への貢献
    未利用間伐材をバイオマス燃料として有効利用すれば、森林整備の推進や林業経営の改善につながります。さらに、収集や運搬、発電所運営に伴う雇用創出によって、山村地域の活性化ができます。

 

2-2. 木質バイオマス発電のデメリット

一方で、木質バイオマス発電にはいくつかの課題があります。

  • 燃料の安定調達が難しい
    製材残材や建設発生木材はすでに高い割合で再利用されているため、木質バイオマスの主な供給源は林地残材や未利用間伐材が中心です。しかし、分散して発生し、収集や輸送にコストがかかる林地残材や未利用間伐材は安定供給が難しいとされています。
  • 燃料品質のばらつきによる影響
    木質バイオマスは含水率や形状が均一ではなく、燃焼効率や発電効率に影響を及ぼします。特に原料に水分が多い場合、燃焼が不安定となり、設備の稼働率低下や追加コストの要因となるため、木質チップやペレットなどの形で加工する必要があります。

 

3. 木質バイオマス発電の現状と課題

木質バイオマス発電は、地域活性化や災害時の分散型電源として高く評価される一方で、収集・運搬コストや燃料需給の不安定さにより事業継続性が問われています。そのため、政府は持続可能な利用体制を構築するための施策を進めています。

第7次エネルギー基本計画では、林地残材や未利用間伐材の活用促進、適正な再造林や広葉樹の導入実証を進めるとしています。また、熱電併給によるエネルギー変換効率の向上や、農山漁村再生可能エネルギー法を通じた地産地消の推進も重点に掲げられています。さらに、FIT・FIP制度終了後も事業が継続できるよう、自立化に向けた長期計画の策定やコスト構造の見直しが求められています。

出典:経済産業省資源エネルギー庁「第7次エネルギー基本計画」

今後も木質バイオマス発電の普及拡大が進んでいくことには違いがありませんが、FIT・FIP制度に頼った事業継続は難しくなる可能性が高いと言えます。国の支援策を活用しつつ、地域の林業や産業と連携した燃料調達体制を早期に整えることが、将来の木質バイオマス発電を持続させるのに必要になるでしょう。

 

4. 木質バイオマス発電の活用事例

木質バイオマス発電事業により、地域の森林資源を生かしながらエネルギー供給と地域振興を両立させるのに成功した自治体は複数あります。以下では、林野庁の事例の中から、2つの自治体を紹介します。

  • 鹿児島県枕崎市
    鹿児島県枕崎市では、2019年に「林業成長産業化総合対策補助金」を活用した地域内エコシステム構築事業が始まりました。2020年には燃料を南薩地域から集荷する、出力1,990kWの木質バイオマス発電所が稼働しています。発電所の設立により新たに16名の雇用が生まれ、木材需要と地域内産業の連携強化が実現しました。今後はFIT制度終了後を見据えて、鰹節製造に伴う残渣処理工場や公共施設への熱供給を検討しています。
  • 岡山県西粟倉村
    岡山県西粟倉村では、「百年の森林構想」のもとで林業再生と地域内エネルギー供給を進めています。2017年からエネルギーセンターの整備を行い、庁舎や学校への熱供給を開始しました。さらに、小型バイオマス発電機を併設し、災害時には診療所や福祉施設へ自立発電による電熱供給を維持する発電施設を整えました。年間で約304トンのCO2削減が見込まれるほか、年間約1,200万円が地域に還元されています。

出典:林野庁「⽊質バイオマス熱利⽤・熱電併給事例集第2版」

 

まとめ

木質バイオマス発電は、森林資源を生かしながら電力を得られる仕組みであり、再生可能エネルギーの中でも地域に根差した発電方法として注目されています。

メリットとしては、カーボンニュートラルへの貢献や廃棄物削減、地域産業の振興が挙げられますが、一方で燃料の安定調達や品質管理といった課題も存在します。今後は、林業や自治体と連携した資源循環の体制づくりや、熱電併給など効率的な利用方法がますます重要になります。

地域活性化と脱炭素社会の両立を目指す上で、木質バイオマス発電の役割は大きく、持続可能なエネルギー社会の構築において欠かせない要素と言えます。

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